ファータは、次第に夢中になってどこかへと飛んでいく友人達を見送り、自らの部屋
へと戻る。木をくり抜いてできた彼等の住居には、わらでできた柔らかなベッドがあり、
ファータはそこへ横たわり、夕方が来るのを待ち遠しく思っていた。
そして、彼等が戻ってくるのを待つのが、彼女が三番目に好きな時間だった。
空が次第に暗くなると、ファータはそわそわとドアの前へと向かう。
妖精達の時間は、穏やかに過ぎていく。日がな一日遊んでは、空が暗くなり始める頃
に家へと戻る。その頃には、わずかに残った夕日の朱色の中を飛ぶ妖精の姿が、よく見
られた。
ファータは、その中に友人達の姿を見つけ、大きく手を振った。それに応えるように
数人の妖精がその側を旋回し始める。それを合図に、ファータは地面から数メートルほ
どの高さにあるドアから、空へと飛び立った。
正確には、彼女は飛ぶことはできない。ただ、その羽を思い切り羽ばたかせれば、わ
ずかながらに滑空することができた。ファータはそれを飛ぶ、と表現したが、ほとんど
の妖精はそれを笑い話としていた。笑わなかったのは、彼女の友人だけだった。
そして、彼女と数人の友人は、いつものように地面へ向かって緩やかに滑空していく。
どんどんと高度は下がっていくが、緩やかな螺旋を描くように飛行するその時間は、周
りの妖精達が驚くほどゆったりと流れていった。ただしファータは、その時間を長すぎ
ると思ったことは一度もなかった。
いつしか、その周りに数多くの妖精が集まっていた。みんなファータを笑いに来てい
るだけなのだが、それでもファータは楽しんでいた。
これが、彼女が最も大切にしている時間だった。 |